書籍を翻訳する出版翻訳や、映画・ドラマなどを扱う映像翻訳では、内容を簡潔にまとめ、作品全体の流れや見どころを伝えるために、「シノプシス(梗概・要約)」の作成が仕事の一部に含まれることがあります。
しかし実際には、翻訳作業におけるシノプシスの有効性はこうした特定の分野に限りません。
ビジネス文書、技術文書、契約書、学術資料など、分野を問わず、翻訳前にシノプシスを作成することは非常に効果的です。
この記事では、普段、オールインワンAI言語サービス「KORREPET(コレペット)」を使って産業分野の翻訳や翻訳チェックを行っているブログ担当が、実務の中で感じている「シノプシス作成の効果」をご紹介します。

翻訳前にシノプシスを作る意味とは?
翻訳では、単に文章を別の言語に置き換えるだけでなく、文書の意図や背景、想定読者、専門性を正確に捉えることが重要です。
ところが、原稿が長文だったり、専門用語が多かったり、論理構成が複雑だったりすると、全体像をつかまないまま翻訳を進めてしまうリスクがあります。
その結果、表現の揺れや訳語の不統一、重要なポイントの取り違えが起こりやすくなります。
そこで有効なのが、翻訳前にシノプシスを作成することです。
あらかじめ内容の骨子を整理しておくことで、文書全体のテーマ、論点、結論、重要なキーワードを把握しやすくなり、翻訳の方向性をぶらさずに進められます。
複数人で翻訳プロジェクトを進める場合には、認識合わせのための共通資料としても役立ちます。
(また、原文の核となる情報や流れを把握し、それを訳文で自然に再現できたときの手応えこそ、「翻訳の醍醐味」のひとつとも言えます!)
シノプシスで拾うべき情報と、望ましいアウトプットの形とは
シノプシスを作成する際は、単なる短い要約にとどまらず、翻訳作業に必要な情報を整理しておくことが重要です。
具体的には、以下のような要素を押さえると効果的です。
シノプシスを作成する際に注目したい情報
- 文書の主題・目的
何について書かれているのか、何を伝えたい文書なのか。 - 想定読者
一般読者向けか、専門家向けか、社内資料か、顧客向けか。 - 全体構成
序論・本論・結論、あるいは章ごとの流れ。 - 重要な論点・メッセージ
どこが核となる主張なのか。 - 専門用語・固有名詞
業界用語、製品名、組織名、法規制関連の表現など。 - 訳文で注意すべきニュアンス
断定的か慎重か、フォーマルか親しみやすいか、といったトーン。 - 数値・日付・条件
誤訳が許されない定量情報や条件設定。
アウトプットの形式
翻訳前のシノプシスは、長文である必要はありません。
むしろ、翻訳者や関係者が短時間で確認できるよう、箇条書きを中心に、簡潔に整理された形式が適しています。
たとえば、以下のようなフォーマットが実用的です。
シノプシスの例
- 文書タイトル:〇〇に関するレポート
- 主題:新サービス導入の背景と期待効果
- 目的:社外向けに導入の意義を説明する
- 想定読者:見込み顧客、業界関係者
- 要点:
- 市場課題の提示
- 新サービスの特長
- 導入メリット
- 今後の展望
- 重要用語:
- 〇〇
- △△
- □□
- 翻訳上の注意:
- 専門性を保ちつつ平易に表現
- 用語統一を優先
- 数値表現は原文に忠実に反映
このように、要約と翻訳準備に必要な情報を一体化しておくと、翻訳工程がスムーズになります。
生成AIを使ってシノプシス作成を手軽に
現在では、生成AIを活用することで、シノプシスの作成は以前よりずっと手軽になりました。
プロンプトを設定することで、重要な論点や用語などが瞬時に出力できます。
オールインワンAI言語サービス「KORREPET(コレペット)」では、「テキストの翻訳(解説付き)」および「文章要約」の画面にて、簡単にシノプシスを作成できます。
入力データはAIモデルの学習に利用されないセキュリティ設計となっているため、クライアントの翻訳原稿データも安心して入力できます。
「テキストの翻訳(解説付き)」の画面では、翻訳文だけでなく、「主題の解説」と「専門用語」の解説も出力されます。
特許請求項など、抽象的な文章も分かりやすい言葉で言語化されるため、原文への理解がグッと高まります。

ブログ担当は、このときにチャットでの「壁打ち」やオリジナルプロンプトの「マイプロンプト」を活用して、特許の「クレームツリー(請求項の従属関係を模式的に整理した図)」をAIに出力させたり、構成要素の初出・既出(日英翻訳では a/an と the の判断ミスは命取り!)を確認させたりする使い方も気に入っています。
(チャット欄を使った「壁打ち」については、こちらの投稿もご参照ください。)
(プロンプトの編集や「マイプロンプト」については、こちらの投稿もご参照ください。)
「文章要約」の画面では、要約後の文字数を指定して要約文を出力できます。
こちらでも、チャット欄を使った「壁打ち」が可能です。
翻訳という業務において、AI活用を一次訳の生成だけにとどめてしまうのは、非常にもったいないことです。
この記事をきっかけに、AIを活用して、シノプシス作成にも取り組んでみようと思っていただければ幸いです。
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