出願した特許について特許庁から Office Action(拒絶理由通知書など)が届いた場合は、その Office Action に記載された内容や引用されている特許文献を読み解き、特許請求の範囲や明細書などを補正したり、意見書を提出したりするなどの応答を行う必要があります。
「果たして、審査官が指摘するように、引用文献1には自社の特許出願における○○部が記載されているのか?」
そうやって Office Action と引用文献を読み解く作業は、なかなか骨の折れるものです。
この記事では、以前は特許事務所で Office Action の要約を担当し、現在は Office Action や応答文書の翻訳に携わっている「KORREPET(コレペット)」ブログ担当が、AIを活用して Office Action と引用文献を効率的に読み解く方法をご紹介します。

PDFの場合は、OCRをかけてテキスト化する
特許庁のサイトからテキスト情報として入手できる Office Action であれば問題ありませんが、国によっては、テキストをコピーできないPDF形式でのみ提供される場合があります。
そのような場合は、OCRを利用してテキスト化することで、AIを活用できるようになります。
ただし、OCR処理後のファイルには改行が多数含まれていたり、明らかな文字化けがあったりするなど、不備が見られることもあります。
「このファイルをきれいに整える手間をかけるくらいなら、PDFのまま読む!」と感じてしまうことも。
高性能なOCRは、AI活用のためだけでなく、日々の業務におけるストレスの軽減にも効果的です。
オールインワンAI言語サービス「KORREPET(コレペット)」の「OCR(文字認識)」では、AIによるOCR処理を行った後、別のAIが不要な改行を削除したり、明らかな誤検出を訂正したりすることで、「すぐに使えるテキストファイル」を生成します。

Office Action や引用文献を翻訳・要約する
届いた Office Action や、Office Action で引用されている特許文献(引用文献)は、1行目または指摘されている段落番号の段落から目で読み進めるのではなく、AIを使って要約することをおすすめします。
具体的には、プロンプトに以下の要素を盛り込み、要約するよう指示します。
- Office Actionで確認したいポイント
- どの請求項が、どの拒絶理由の対象になっているか
- 新規性・進歩性・明確性・記載要件など、指摘されている拒絶理由の種類
- 審査官が問題視している請求項の構成要件・文言
- 各拒絶理由について審査官が示している判断の根拠
- 拒絶理由を構成するために組み合わせられている引用文献と、その役割
- 意見書・補正書の提出期限や、対応時に注意すべき手続上の事項
- 引用文献で確認したいポイント
- 対象としている技術分野
- 解決しようとする課題
- 技術的な効果
「KORREPET(コレペット)」の「文章の要約」の画面では、要約後の文字数を指定して、AIによる文書要約を生成できます。

Office Action や引用文献が外国語で書かれている場合は、日本語に翻訳したうえで要約すると時間短縮につながります。
「KORREPET(コレペット)」の「テキストの翻訳(解説付き)」の画面では、翻訳文に追加で、「主題の解説」と「専門用語」の解説も出力されます。
請求項などの抽象度が高い箇所も分かりやすい言葉で説明されるため、文献に対する理解が大きく深まります。

壁打ちで、必要な部分だけ、深く読む
要約によって、Office Actionや引用文献の要点を把握できました。
全体像を把握した後は、AIによる「壁打ち」を使って、Office Actionにおいて審査官が指摘している内容の妥当性を確認します。
AIに、読み込ませたOffice Actionや引用文献に対して、以下のようなプロンプトを入力し、壁打ちをしながら内容を検討していくのです。
Office Actionでは、本願請求項1の『○○部』は、引用文献1の△△に開示されていると記載されています。
引用文献1の該当箇所を踏まえ、この認定は妥当でしょうか?
根拠となる段落番号、請求項番号、図面番号を挙げて説明してください。
審査官は、引用文献1の『△△』を本願請求項1の『○○』に対応すると認定しています。
ただし、両者は目的や動作が異なるように見えます。
共通点と相違点を整理してください。
Office Actionにおける引用文献1の認定について、明示的に開示されている事項と、審査官が技術常識等から推認している可能性がある事項を分けてください。
「KORREPET(コレペット)」では、上記で紹介した「文章の要約」の画面でも「テキストの翻訳(解説付き)」の画面でも、一度タスクを実行した後に “チャット欄” が表示されます。
このチャット欄を使って上記のような壁打ちをし、読み込みを深めることができます。

チャット欄では、画像の読み込みもできます。
そこで、特許図面を読み込ませ、以下のようなプロンプトを使った壁打ちも効果的です。
Office Actionでは、引用文献1の図Xの○○部分が請求項1の『△△部』に対応するとされています。
図面、符号の説明、本文の記載を総合すると、この対応関係は妥当でしょうか?
引用文献1の図Xについて、請求項1に関連する構成要素を図の符号ごとに整理してください。
そのうえで、請求項1に対応しない構成要件を指摘してください。
引用文献1の図Xおよび図Yから、○○と△△の位置関係・接続関係・動作関係を読み取ってください。
Office Actionの認定と異なる解釈があり得る場合も示してください。
短時間で効果的に読み込み、適切な応答案を作成する。
この記事が、知財実務におけるAXのヒントになれば嬉しいです。
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